「いつか、自分たちの感性を表現できる場所を作りたいね」。ともにうつわ好きである主人と温めていた夢。それがひとつのかたちとなったのが、陶磁器や鑿(のみ)の跡が豊かな表情を醸し出す木皿といった飽きのこない生活道具を集めたギャラリー「季の雲TOKI no KUMO」です。
このお茶碗を作る人は毎朝、コーヒーを飲むのかな、お気に入りのソファーはあるのかな、好きな曲はなんだろう…。作品に興味を持ち、そしてそれを扱うことはすなわち、作り手本人と“出会う”ということでもあります。作家さんを深く知るために、工房やご自宅を訪ねるのはもちろん、ときには作家さんと作品について語り合いながらとことん飲んで、
ヘロヘロの状態で展覧会初日を迎えたこともありましたっけ。その人を知れば知るほど深まる、作品に対する思い入れ。と同時に、作り手を大切に想うきもちも大きくなっていくのです。
来年の夏に店の10周年を迎えるわたしたちにとって、作家さんとともに歩んできた日々は宝物です。そして今回、その宝物を少しだけお披露目できる機会を与えていただきました。楽しく、イメージをふくらませながら読んでいただけたなら幸せです。そして、もし、気になる作家さんがいらっしゃいましたら、いつか長浜にあるギャラリーまでお出掛けください。店のシンボルである高い鉄扉の奥で、作品とともにお待ちしております。