1日10杯くらいブラックで飲んでいそうなのに!? 実はコーヒーが大の苦手。いつも黒を身にまとい、ハードで渋い雰囲気の竹俣さんは、伝統工芸の町、金沢で生まれ育った金属工芸のアーティストです。「使いやすさなどはあまり気にせず、自分の作りたいカタチ・テイストを作っていきたい」。ブレのない真っ直ぐな姿勢は、5月の2人展でコラボレートする陶芸家、岡田直人さんとの共通点でもあります。
ジュエリーの制作から入った金属の世界。アンティークジュエリーの修理をこなしながら、ただ声がかかるのを待つだけの苦しい時期も経験しました。しかし、今では全国のギャラリーからも注目され、陶磁器の作家とのコラボレーションにも積極的。活躍の場が、それもどんどん広がりつつある様子を見ていると、彼が同世代の作家たちの中心とな
り、大きなウェーブを起こすのではないか…そんな期待を抱かせてくれるのです。
また古いモノも大好きで、彼の作品のなかでも目を奪われるのが、使い込んだような表情のステンレスのプレートやカトラリー。アンティークジュエリーを修理する際、どうすれば100年以上の経年変化を損なわず元に戻せるか、ということを常に考えてきた人だからなのでしょう。加えて、ジュエリーの世界から入ったことで「作品の見え方が気になる」とも。その理由に、「かわいい・カッコイイ・美しいなどの見た目も“機能”のうち」という、自身の作品論を語ります。
もし、竹俣さんにキャッチコピーを付けるとしたら、「揺るぎない哲学を持った人」。作品から感じる男性的な力強さや粋といった独特の感覚は、そんな彼の哲学に由来するものなのかもしれません。
竹俣勇壱 Takemata Yuichi
- 1975年
- 石川県金沢生まれ
- 1995年
- 彫金を学びはじめる
- 1997年
- ジュエリーショップでオリジナルアクセサリーの制作に携わる
- 2004年
- 新堅町にスタジオ兼ショップ「KiKu」をオープン
- 2011年
- 東山にスタジオ兼ショップ「sayuu」をオープン