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季の雲の作家たち 03 竹俣勇壱

031日10杯くらいブラックで飲んでいそうなのに!? 実はコーヒーが大の苦手。いつも黒を身にまとい、ハードで渋い雰囲気の竹俣さんは、伝統工芸の町、金沢で生まれ育った金属工芸のアーティストです。「使いやすさなどはあまり気にせず、自分の作りたいカタチ・テイストを作っていきたい」。ブレのない真っ直ぐな姿勢は、5月の2人展でコラボレートする陶芸家、岡田直人さんとの共通点でもあります。

ジュエリーの制作から入った金属の世界。アンティークジュエリーの修理をこなしながら、ただ声がかかるのを待つだけの苦しい時期も経験しました。しかし、今では全国のギャラリーからも注目され、陶磁器の作家とのコラボレーションにも積極的。活躍の場が、それもどんどん広がりつつある様子を見ていると、彼が同世代の作家たちの中心とな

り、大きなウェーブを起こすのではないか…そんな期待を抱かせてくれるのです。

また古いモノも大好きで、彼の作品のなかでも目を奪われるのが、使い込んだような表情のステンレスのプレートやカトラリー。アンティークジュエリーを修理する際、どうすれば100年以上の経年変化を損なわず元に戻せるか、ということを常に考えてきた人だからなのでしょう。加えて、ジュエリーの世界から入ったことで「作品の見え方が気になる」とも。その理由に、「かわいい・カッコイイ・美しいなどの見た目も“機能”のうち」という、自身の作品論を語ります。

もし、竹俣さんにキャッチコピーを付けるとしたら、「揺るぎない哲学を持った人」。作品から感じる男性的な力強さや粋といった独特の感覚は、そんな彼の哲学に由来するものなのかもしれません。

竹俣勇壱 Takemata Yuichi

1975年
石川県金沢生まれ
1995年
彫金を学びはじめる
1997年
ジュエリーショップでオリジナルアクセサリーの制作に携わる
2004年
新堅町にスタジオ兼ショップ「KiKu」をオープン
2011年
東山にスタジオ兼ショップ「sayuu」をオープン
01

2店舗目の前にてご本人。店名の「sayuu」(左右)にも哲学的な意味が込められています。

02

真鍮の金属味が気になり、ステンレスで作った韓国のスッカラ。口当たりもいい。

03

カトラリーをリューターで研磨。細粒のサンドペーパーを使用する、細やかな作業。