陶土・ろくろ・窯などがいたる場所に存在している陶芸の町、岐阜県多治見市で生まれ育った服部くん。公園で遊んでいる時や登下校時にも、当たり前のように陶磁器を目にする環境…。それらはあまりにも日常の風景で、小さい頃は陶芸というものに興味が沸かなかったそうです。それから時は流れて、大学卒業後。モノを作る仕事がしたいと思った彼は、多治見にある「意匠研究所」という陶磁器の専門学校に入学します。はじめはオブジェのような鑑賞用の作品を制作していましたが、次第に使ってもらえるモノづくりに移行。「お客さんから直接、使った感想や喜びの声を聞くことで、観てもらうだけのモノを作っていたときよりも、陶芸を楽しんでいる自分に気付いたんです」と当時を振り返ります。
フグ!? を想像させる丸みのあるフォルム
に、おちょぼ口のような注ぎ口。思わずクスッと微笑んでしまう代表作のポットシリーズに対して、黒を基調にした銀彩のシリーズはクールで凛とした趣。異なる雰囲気を漂わせる二作品ですが、どちらも手に取ると、背筋をピンと伸ばしてシャキシャキと気持ちの良い話し方をする彼らしく、細部まで実に丁寧に作られていることに気付かされます。尊敬する作家は20世紀を代表するイギリスの陶芸家、ルーシー・リー。その影響もあり、当初は洋食器からのスタートでしたが、現在は和・洋どちらの料理も映えるようなうつわ作りが目標です。
プライベートでは最近の若者らしく、スノボーやスケボー、サーフィンなどで思いっきり弾けて、ON とOFFのスイッチを切り替える。だからなのでしょう。彼の手から生まれた作品からは、澱みのない高い集中力が伝わってくるのですね。
服部竜也 Hattori Tatsuya
- 1978年
- 岐阜県多治見市生まれ
- 2004年
- 多治見市陶磁器意匠研究所 修了
第5回益子陶芸展 入選
第42回朝日陶芸展 入選 - 2005年
- 第7回国際陶磁器展美濃
デザイン部門 入選
陶芸部門 入選 - 2007年
- テーブルウェア・フェスティバル 入選
第4回京畿道世界陶磁ビエンナーレ国際公募 入選 - 2008年
- 第8回国際陶磁器展美濃 入選
- 現在
- 岐阜県土岐市にて制作