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季の雲の作家たち08 花岡隆

08電話の向こうの花岡さんは、いつもお元気で、嬉しそうに近況をお話ししてくださいます。お仕事も含め「人生を楽しむ」ことにかけて、花岡さんの右に出る方を私は知りません。大自然に包まれた北海道に生まれ、1980年から静岡県伊豆の修善寺で粉引(こびき)・黒陶(こくとう)を中心に作陶。本職の陶芸だけでなく、ジャズ・ワイン・旅・マウンテンバイクなどなど、とても多趣味で、いつも話題がない人生の達人、花岡さんのブログにはこうあります。
 「自然の恵みを豊かにいただく、そんな器でありたいと」 「サイクリングという世界は、僕にとってもうひとつの居場所」 「部屋から伊豆修善寺の緑を見ていると豊かな気持ちになれるんです」 「つくり上げていく過程にも、意味があります」 「陶芸で大切なことは、まず土と仲良くすること」 「人と同じように、作品も一つ一つ違ったものになっていくんです」 「裏山でとった草花をそっとさす。すると存在感がぐっと出るんです」 「自然に囲まれて暮らしていると、毎日違う色彩に会えるんです」
 作陶を軸に、自然のこと、食べ物のこと、音楽のこと、遊びのこと。花岡さんの言葉からは、日々の生活におけるONとOFFの重要性が伝わってきます。うつわは「食」を引き立てる大切なモノですが、それは、素晴らしい食材を使った美味しい料理、心を和ませるお酒、そして、ともに語り合うことができる友による幸福な時間があればこそ。“生きる”ことへのこだわりから、新しいうつわの形が生み出されるのです。
 工房の周りは、溢れる自然でいっぱい。ご自身の生き方同様に、遊び心を感じる、ゆったりとした作風は、今後もうつわを愛する多くの人々を魅了していくことでしょう。

花岡隆 Yutaka Hanaoka

北海道小樽市に生まれ、横浜で育つ

1973年
伊賀在住の陶芸家 故番浦史郎氏に師事
1980年
静岡県修善寺に窯を築く。主に食と花のうつわを個展にて発表
01

「しのぎ」と呼ばれる切り込み模様がポイントの花入れ。口が小さく、一輪でも格好がつきます。

02

随所に熟練の技を感じる、花岡さんの作陶風景。スピードの速さには、ただただ驚くばかりです。

03

「何千個、いや、何万個作ったかな」。どんどん出来上がって乾燥を待つ、形成したてのうつわたち。

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