座布団を現代につなげる“想い”。
「実は、座布団の由来は筵(むしろ)。というのも、古代の畳は筵(むしろ)が発達したもので寝具と座具の両方を兼ねており、身分・権威を表すものでした。その畳から、座布団の原型といえる茵(しとね)へと発達していきます。木綿が輸入されたのは鎌倉時代からで、江戸時代中期頃から生地の中かに綿を入れた現在の座布団の形に。一般庶民に普及したのはもっと遅く、大正時代からです。」と、座布団の歴史を語る加藤さん。「座布団には表裏があり、縫い目をよく見ると分かります。縫い合わせの部分、持った時にひっかかる方が表。矢印のような中央部分の飾り紐は、座布団の置き方で座り位置の正面が分かるようになっています。日本人にとって馴染み深い座布団の歴史を知ると、これまでは単なる生活品だったものに愛着が沸き、使い方もまた変わってくるのではないでしょうか」。加藤さんの寝具への思い入れは深く、その知識が良品の製作へとつながっている。
素材との対話、季節による調整。
今も作る工程を大切に、手作業により丁寧に仕上げられる製品。先代から受け継がれる知識と技術だけでなく、現代の生活スタイルも柔軟に取り入れる加藤さんの視点からアレンジも加わる。「現代風にアレンジした小座布団(こざぶとん)から、お寺や旅館などで使用される銘仙判(めいせんばん)まで、ラインナップも用途で選べるよう展開しています。また作り手側が正しい知識と確かな技術を持って製品を仕上げることが、良いものを使用してもらうためには必要不可欠。体重比や体の形状などを考えて綿量を調節するのはもちろん、綿は湿度や温度で微妙に変化するので、その都度、対話をするような感覚で、中に入れる綿をグラム単位で微調整して仕上げていきます。ちょっとのことですが、座面に座った時に感じる“心地よさ”とバランスの違いは、使用される方にもきっと伝わるはずです」。
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