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江戸や明治にはない、“平成の色”を映したい。|竹中木版 竹中健司

現代女性を描いた、「いまうきよえ」。

「美人画で知られた喜多川歌麿や竹久夢二の復刻はあっても、オリジナルの発表は100年以上ぶりじゃないですかね」。2011年の秋に発表された「いまうきよえ」。京都在住の人気イラストレーター、カンバラクニエさんと『竹中木版』5代目、竹中健司さんによるコラボレイト作品で、作品名には“いまの時代の浮世絵”という意味を込めた。挑戦したのは、江戸時代に庶民のためのアートとして開花した浮世絵のなかでも、特に人気が高かった美人画と呼ばれるジャンル。題材はもちろん、現代にっぽんの女性たちだ。

図柄を起こす絵師、版木を彫る彫師、そして幾重

にも色を重ねる摺師(すりし)の技から成る、木版画の世界。摺師の職人として古典作品の復刻に携わる一方、モノの真理をシンプルな構図で表現する木版画家として活動の場を広げる竹中さんにとっても、いちから美人画を作るプロジェクトは初めてのこと。「このために書き下ろされたイラストもそうですが、今回、使用する顔料の色も使える色が限られていた、かつての美人画にはない色ばかり。摺師としては、いまを感じさせる“平成の色”をしっかり出していきたい」。

現在、発表されている作品は7作だが、最終的には全10作の“揃え物”になることが決まっている。歌麿のように色香漂うでも、そして夢二のように物憂げでもない。いまの時代を自由に生きる、タフでしなやかな女性たちの姿を一枚の和紙に映す。

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    • 1. 路地に佇む町家を工房に。1階はショップになっており、浮世絵などの作品ほか、オリジナルグッズの販売も。
    • 2. 「あらゆる物事の真理を知りたい」。東寺の五重塔の普遍的な美を、濃淡のある青と簡素なデザインで表した作品。
    • 3. 作品はそれぞれ限定300枚。背景の淡いグラデーションは、日本画の影響を強く受けた京版画特有のもの。
    • 4. 時代が変われば、女性も変わる。江戸時代の浮世絵師、喜多川歌麿の美人画(左)と平成の「いまうきよえ」。
    • 5. 色を重ねるごとに浮かび上がる舞妓の姿。版木には耐久性の高い桜、紙には人間国宝の手漉き和紙を使用する。

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こちらで紹介されている新作商品は、5月下旬より販売予定です。