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香川漆器は、江戸時代後期に、玉楮象谷（たまかじ ぞうこく）が、「蒟醤（きんま）」、「存清（ぞんせい）」等タイや中国から伝わってきた漆器技法を研究し、それらにわが国古来の技法を加えて新しい技法を生み出したことから始まりました。 その技法を受け継いで、現在香川県の高松市を中心に、特色のある漆器が数多く生産されており、それらを総称して「香川漆器」と呼んでいます。 まさにさぬきの国を代表する伝統工芸品と言えます。磨きに磨き上げられた匠の技に支えられ座卓や飾棚、盆、茶托、菓子器等、身近な日用品から美術品、高級家具に至るまで、さまざまな製品が生み出されています。 種類の豊富な事で全国一の、使いやすい身近な漆器です。 香川漆器の代表的な技法である、「蒟醤」、「後藤塗」、「存清」、「彫漆」、「象谷塗（ぞうこくぬり）」は、いずれも使っていると歳月とともに「渋」と「味」が美しさを増し、香川漆器独特の色調がでてきます。 香川県内はもとより、全国各地からも年々注文が多くなり注目されています。 蒟醤は、竹や木の素材の上に黒漆、または朱漆を数十回塗り重ねた表面に、綿密模様をケンと呼ばれる彫刻等で線彫りし、その凹面に色漆をうめて研ぎだす方法で、一種の漆による象嵌です。 漆の面を彫るという点では沈金に似ていますが、朱漆、黄漆の色ごとに彫り上げ充填（じゅうてん）させる作業を繰り返し、全部の充填が終わると表面を平らに研ぎだすという大変手間のかかる独特の技法です。 その拡張の高さと華麗な模様は、香川漆器の王者といえます。 存清の技法は、東南アジアに起こり、中国へ移り、日本へは室町中期に伝えられたとされています。玉楮象谷（たまかじ　ぞうこく）が中国の技に新しい技を加えて日本的なものにしましたが、名称は中国の「存清」の名前そのままとしたのです。 黒地・赤地・黄地などの漆面に色漆で絵を描き、その輪郭部や漆絵の主要部分をケンで線彫りし、細部は毛彫りにして仕上げる技法です。 文箱や丸盆など調度品や生活用品として親しまれています。 漆を何回も塗り重ねて、その表面をケンで彫り、美しい模様を作り出すのが彫漆です。香川の彫漆の特徴は色漆を塗り重ねて彫るところにあり、例えば、赤漆三十回、緑漆三十回といった具合に塗り重ね、時には二百回以上になることもあるといいます。 欲しい色層まで表面を彫りさげることにより、埋もれていた漆の色があらわれ、芸術性豊かな絵模様が描きだされます。繊細で美術的価値も高い彫漆は室内インテリアとしても評価されています。 「梧桐塗」の別名もありますが、創始者・後藤太平翁にちなみ「後藤塗」として広く知られています。 朱を基調にした飽きのこない文様は使えば使うほど漆のもつ独特の渋さと深い味わいが増す物で、風雅な趣があります。 香川では、どこの家庭にも一つや二つはあるといわれるほど愛用され、お茶人さん達にも広く愛用されています。 香川漆器の始祖と呼ばれる、玉楮象谷（たまかじ　ぞうこく）の名をとり、「象谷塗」と呼ばれています。 木地に漆の塗りを繰り返し最後に真菰(まこも：水辺に生えるイネ科の多年草）をまいて塗る技法で、茶托や丸盆等に多く使われています。 素朴で典雅、歳月と共にだんだん渋みを増し、独特の陰影がでてきます。 侘び寂の趣があるといわれる象谷塗です。 ■美しいツヤ、しっとりとした手ざわり感 天然の漆器は、プラスチック製品や陶器、ガラス製品にはない特徴として、使い込むうちに本当に美しいツヤとしっとりとした手ざわり感が出てきます。これは、使い込んだ人だけが楽しめる漆からのご褒美です。 ■割れにくく、熱も伝えにくい。 陶器やガラス製品に比べて割れにくく、熱も伝えにくいので、熱い汁物を入れても手にすることができます。 ■キズまでも美しく。 漆器は、使い込むうちに堅くなる性質があります。 使い込むうちについた小さなキズは、美しく見えてきます。 ■かぶれません。 漆器は、十分に乾燥した状態で出荷されますので、かぶれることはありません。 漆器の特徴を知って大切にお取り扱いいただけば、長い間漆器の美しさをお楽しみいただけます。 使いこむ程味がでる日本ならではの美しい器を是非お楽しみください。 ◆漆器のお取り扱い方法