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季の雲のこと

ギャラリストがにっぽんの作家とその作品を紹介する連載エッセイ「季の雲の作家たち」。舞台となるギャラリー「季の雲」は、JCrafts取材チームの拠点である京都の隣、滋賀県長浜市にあります。日本の戦国時代を代表する武将で、後に天下人となる豊臣秀吉が最初に居城を構えた城下町。琵琶湖の北に位置する長浜は古くより東と西を結ぶ交通の要所として栄え、時代の最先端のものが集まる文化の集積地として発展しました。

「季の雲」のオーナー兼ギャラリストである中村さんご夫妻も、ともに長浜出身。使いやすく、そしていつまでも飽きない、にっぽんのデザイン——。ご夫婦の審美眼に叶った、シンプルでモダンな作品の佇まいは、茶人、千利休が漆黒の樂茶碗に見出した「侘び」の世界にも通じるものがあります。
奇しくも、当時、もてはやされていた輸入品の茶道具ではなく、日常的に使用されている国産の茶碗にいち早く注目したのも利休でした。

奇抜な色やかたちで人目を引くのではなく、生活空間に溶け込み、日々の営みにそっと寄り添う“新たなる美意識”を集め、提案するギャラリー。にっぽんの現在進行形のものづくりを題材にした連載をスタートするにあたり、数ある候補のなかから「季の雲」を選出した理由はここにあります。

機能美だけでなく、高い精神性も兼ね備えた作品の数々。これからのものづくりを支える若手を中心とした、作り手の数だけあるストーリーとともにお楽しみください。

オーナーの中村敬子さん

作家からの信頼も厚い、オーナーの中村敬子さん。作家との対話を大切に、この空間は創られる。